田内康介
SNSで誹謗(ひぼう)中傷を受けた後にプロレスラーの木村花さん(当時22)が昨年亡くなったことをきっかけに、ツイッターの投稿を監視したり啓発したりする団体が25日、活動を始めた。5年間で中傷の投稿を半減させる目標を掲げる。
この団体は一般社団法人「この指とめよう」(東京)。広告・事業開発会社のコピーライター、小竹海広さんが発起人となった。
ツイッターには「バカ」「消えろ」「きもい」「死ね」といった言葉が含まれる多数の投稿がある。小竹さんらが調べたところ、精査前の段階で年1億件近くに上るとみられるという。そこで風評被害や中傷対策を企業に提供する企業のシエンプレと提携し、ツイッターを監視する。
まず監視チームが差別的な言葉などが含まれる投稿がないかをチェック。法人のアドバイザリーボードメンバーの大学教員やジャーナリスト、若年層を支援するNPO代表らと協議し、「誹謗中傷にあたる」と判断すれば発信元に啓発のバナー広告を送る。「送信ボタンを押すなら、だれかの背中を押す言葉にしたい」などの投稿を思いとどまらせるようなメッセージを盛り込む準備をしているという。
ほかにも、子どもなどに向けた啓発本を作ったり、中傷対策のオンラインコミュニティーを運営したりする予定もある。
運営資金は、活動に賛同するパートナー企業の負担でまかなう。小竹さんは「法律や技術だけで誹謗中傷をやめさせることは難しい」と述べ、「心理的・感覚的に訴えていくことで誹謗中傷をなくし、SNSが少しでも豊かで穏やかな環境になるようにしていきたい」としている。(田内康介)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル