19日に山形市で開かれる「全日本アンサンブルコンテスト」(全日本吹奏楽連盟、朝日新聞社主催)に、京都府精華町の精華西中学校(金管五重奏)が関西支部代表として出場する。京都の中学が全国大会に出るのは14年ぶり。快挙の裏には、日々の練習以外に、休み時間に重ねた演奏以外のある取り組みがあった。
大会当日の演奏はライブ配信でもお楽しみいただけます。申し込みは大会当日まで専用サイト(http://t.asahi.com/en2021
精華西中は、英国の作曲家アーノルドの「金管五重奏曲第1番」を演奏する。
世界的に有名なニューヨークの金管五重奏団のために書かれた曲で、5人の奏者全員が素早いパッセージとリズムを次々に入れ替わらせながら、技巧を最大限に発揮させて一つの音楽をつくることが求められる。ひと言でいえば、難曲だ。
顧問の弓矢桃子教諭は「中学生にできるのかと思ったが、掛け合いでハーモニーをつくっていくこの曲の面白さが表現できている」と舌を巻く。
コロナで練習制限 平日は1時間
演奏する5人は、トランペットの古沢玲衣さん(14)が2年生で、残り4人は1年生。みんな同じ小学校の出身で、小学4年のころから学校の金管バンドで楽器に触れてきた仲だ。
ただ、この5人でアンサンブルに挑むのは、今大会が初めて。新型コロナウイルスの影響もあり、部活動は平日に1時間、週末は2、3時間に限られ、息の合った演奏にしていくのは簡単ではなかった。
そこで5人は、楽器の練習とは別に、あることにも取り組んだ。曲のイメージの共有だ。
「ここの部分は何色?」
「風が吹いているような感じで」
学校の休み時間に廊下に集まり、曲から感じ取っていることを伝え合う。同じ情景を思い浮かべながら演奏することで、表現したい音楽の方向性がまとまっていった。
「合奏でも意見を言い合うことで、5人の演奏がそろっていった」とトロンボーンの小倉完太さん(13)は言う。
それだけではない。弓矢教諭は「歌うこと」も求めた。
正しい音程で「歌えないと楽器は吹けない」という。5人は自分のパートを楽器ではなく、自分の声で歌う練習も重ねて、演奏を磨いていった。
テューバの楠(くすのき)あおいさん(13)は「フレーズごとに各パートのソロが出てきて、5人が合わさって一つの曲になるところが面白い」と曲の魅力を語る。
めざすは京都勢16年ぶりの金賞
2月11日に開かれた関西支部大会では、中学の部で演奏順が1番最初だった。トランペットの柴田彩音さん(13)は、舞台袖で緊張していたが、無観客だった府大会と違い、関係者とはいえ客席に人がいるのを見て「お客さんがいたので、舞台に出ると楽しんで演奏できた」と振り返った。
目標は「ここまで来たら金賞」。受賞できれば、府勢では16年ぶりだ。
関西大会から全国大会までは1カ月ほどしかないが、ホルンの冨田奏子さん(13)は「少ない時間を有効に使い、関西大会で出たミスを減らしてもっと良い演奏をしたい」と意気込んだ。古沢さんは「応援し支えてくれた人に、感謝の気持ちを届ける演奏がしたい」と話した。(河原田慎一)
大会当日はライブ配信も
第45回全日本アンサンブルコンテストの演奏を、インターネットを通じたライブ配信でお楽しみいただけます。申し込みは大会当日まで専用サイト(http://t.asahi.com/en2021
◇日程 3月19日、山形市・やまぎん県民ホール
◇配信部門 高校、大学の部(前半)=9時30分開演予定▽中学校、職場・一般の部(後半)=午後2時15分開演予定
◇料金 前半、後半各1500円(申し込んだ部門のプログラムデータ付き)
◇問い合わせ 出場団体やタイムテーブルは全日本吹奏楽連盟ホームページ(http://www.ajba.or.jp/
(主催 全日本吹奏楽連盟、朝日新聞社)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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