「声なき悲鳴に気づいて、根気強く手を差し伸べてあげる環境づくりが必要です」
6月上旬、東京都内で「宗教2世」問題についてのシンポジウムが開かれた。世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の2世信者の30代男性が登壇し、自身の体験を語った。
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合同結婚をした両親のもとに生まれた。物心ついたころから教会に連れて行かれ、小学生のときは毎朝5時に起き、教義を音読した。両親の献金のため、節約して生活するよう言われ、大学に行く金銭的余裕はなかった。専門学校を出た後、20歳で就職。きょうだいの学費を親の代わりに支払ってきた。
信仰に疑問をもったきっかけは、合同結婚した妻との間に初めてできたおなかの子の障害だった。10年ほど前、エコー検査で頭部を見た医師から「生まれてもすぐに死んでしまう可能性がある」と告げられた。
信者の親族からは、霊界にいる先祖を苦痛から開放させるための儀式「先祖解怨」を終わらせていないからだと責められた。すがる思いで、韓国の教団本部に向かった。悪霊を取り払うとして、自分で自身の体をたたいたり、他の信者にたたいてもらったりした。幹部に妻のおなかをさすってもらった。
信者からは「これで健康に生まれてくるだろう」と言われたが、韓国の病院では「このままだと母体にも影響を及ぼす。早く中絶した方がいい」と診断を受けた。
信仰を尽くせば解決するとい…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル