「こりゃあかん」「社員の命守る」 わがことと考えた社長の判断

■カンサイのカイシャ ここがオモロイ!

 津波が街をのみ込んでいく光景をテレビの前でぼうぜんと見ていた。2011年の東日本大震災をきっかけに、一人の社長が、大きな決断をします。理由は「社員の命を守るため」でした。

 震災から1週間後、大阪府泉大津市の臨海工業地帯の海岸堤防に2人の男性がいた。廣野幸誠(ゆきせい)さん(65)と川越秀彦さん(66)。廣野さんの手には業務用の巻き尺。堤防から海面までの高さを測ってみると、1・5メートルだった。

 「こりゃ、あかんな」

 「あきませんな」

 堤防から数百メートルのところに、農機具の部品を製造する「廣野鐵工所」がある。廣野さんは社長、川越さんは総務部長を務める。

 南海トラフ地震が起きれば会社に津波が押し寄せる。地震から津波の到達まで約90分。業務中に約120人の従業員は無事に避難できるのか。2人はまず標高を調べようと、堤防を訪れていた。

会社の置かれた状況を考え、下した判断は正しかったのか。その後やってきた大型台風で、評価が出ました。

 避難に向けた様々なシミュレ…

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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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