新型コロナウイルスの影響で原則オンライン授業が続いていた大学で、後期から対面授業を増やす動きが広がっている。背景の一つには「大学生になったのにキャンパスに入れない」という1年生の思いがある。
鹿児島大は10月からの後期、学年ごとに2回、キャンパスで授業を受ける「スクーリング期間」を設ける。まずは学部1年生約2千人。10月1~14日、感染対策をしたうえで教員の指導を受け、学生同士の交流も深めてもらう。12月3~16日も同様にする。学生に伝えると、「これでやっと大学生になれる」と1年生が喜んだという。
前期は学部によっては対面授業もあったが、ほぼオンラインの学部もあった。「学問は人との交流の中で生まれる。対面の機会があるかないかで、オンラインの意味も変わってくる」と武隈晃副学長はいう。医学や教育学の専門家と話し合いを重ね、スクーリング期間を設けることにした。
ただ通学は不安という学生もいるし、状況次第でスクーリング中止もありうる。このため、希望者はオンラインでも受講できる仕組みを残しておく方針だ。「いろんな可能性を考えつつ、学生に不利益のないように準備したい」と武隈副学長は話す。
九州大も春・夏学期はほぼオンライン授業だったが、10月からの秋・冬学期は対面授業を増やす方向だ。対面の方が教育効果が高ければ、実験や実習に限らず、感染対策をすれば対面でも可とする。1年生は全員必修の授業を対面で受講できる。
九大が6月、1年生にオンライン授業をどこで受けたかを尋ねると、回答した1900人の4割が「福岡県外」と答えた。まだ引っ越しを済ませておらず、「受験以来、キャンパスに入ったことがない」という1年生がかなりいると学務企画課はみる。
九州では、新型コロナの1日あたりの感染者数が一時に比べ減少傾向にある。琉球大や長崎大も、教室に入る人数は定員の半分以下、マスク着用などの条件を満たせば対面授業OKとする。ただ、長崎大の担当者は「東京など全国から学生が戻ってくるので、最初から対面は厳しいかも」と話す。
前期は実験や実習に限っていた京都大も、後期は対面での講義を認めることにした。「経済活動も動いている。あまり活動を縛るのはよくないと判断した」(教務企画課)という。
一方、熊本大は後期も前期と同じく、実験や実習以外はオンラインとする予定だ。担当者は「学生と家族の感染防止を最優先する」と話す。6、7月に大半の1年生は対面授業を経験しているといい、後期もオンラインで交流を図る。
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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