「これは憲法問題だ」映画界の風雲児、亡き社長の執念が実を結ぶ

 映画「宮本から君へ」の助成金不交付を巡り、製作会社が文化庁所管団体を訴えた裁判の上告審で、原告が再逆転勝訴し、判決が確定した。裁判途上で亡くなった製作会社「スターサンズ」当時の社長は「これは憲法問題だ」と言い続けていた。最高裁は17日の判決で憲法21条の「表現の自由」に言及し、社長の執念が実を結んだ。

 この訴訟を起こしたのはスターサンズの当時の社長で映画プロデューサーの故河村光庸さんだった。一審から弁護団長を務めた四宮隆史さんは河村さんの遺影とともに会見に臨み、「道半ばで亡くなったが、判決を見せたかった」と目をしばたたかせた。諸葛孔明の故事にならい「死せる河村が最高裁を動かした」。

 河村さんは提訴以来、「これは憲法問題だ」と言い続けてきた。「憲法21条で保障されている表現の自由が今の日本では軽視されている」との危機感を持ち、「世間の関心を高めたい」と提訴の目的を強調していた。

 控訴審で逆転敗訴した後、河村さんは「文化助成と表現の自由」をテーマにシンポジウムを開こうとした。その時、すでに病が進行しており、シンポは実現しないまま、22年6月に死去した。

河村さんの望みに応えるように、最高裁は判決で憲法にも言及しました。そもそも、作品に罪はないのか? 問われ続けて来た問題のいまについて、記事の後半でお伝えします。

 今回の判決は、不交付決定に…

Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

Japonologie:
Leave a Comment