「ごちゃ混ぜの世になれば」 住宅街に大学芋店出した夫婦の思い

 参院選が公示されました。コロナ禍、ウクライナ危機、価格高騰など、誰もが予想しなかった時代を生きる私たち。生きる源となる「食」を通じて、人々の思いを聞きました。

#食べる・生きる・考える

 口に入れると、外はあめのカリッとした食感。しかし、中の芋はしっとり。食感の落差を楽しめるだけでなく、濃厚な甘さは、お茶うけにぴったりだ。

 「おいしさの秘密は安納芋です。でも、安納芋は水分量が多いので、大学芋を作るのは難しいんです」

 堺市南区で大学芋専門店「芋田屋又三郎」を営む松田博幸さん(57)と松永香織さん(50)夫妻は、こう口をそろえる。

 手先が器用な香織さんはかつて、東京の大学芋専門店とコラボして、大学芋のキーホルダーなどをハンドメイドで作って販売していた。「コラボではなく、自分で大学芋を作って売った方が早い」。2020年2月に店舗を持たない大学芋専門店をオープンさせた。

 店名は、種子島産の安納芋を使ったことから、種子島から火縄銃を堺に持ち込んだ橘屋又三郎にあやかった。当初はイベントでのテント販売がメインのつもりだったが、開店直後にコロナ感染が急拡大し、イベントがなくなった。

 二人は、お店を構えることにした。開店資金などを昨秋、クラウドファンディングで募集。店の場所は、堺市南区赤坂台の自宅隣の家を借りた。

 なぜ、繁華街に店を構えなかったのか。

「自分の死後、この子はどうなるんやろう」

 それは、知的障害を伴う自閉…

この記事は有料会員記事です。残り716文字有料会員になると続きをお読みいただけます。

【7/11〆切】スタンダードコース(月額1,980円)が今なら2カ月間無料!詳しくはこちら

Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

Japonologie:
Leave a Comment