愛知県豊田市の取水施設「明治用水頭首工(とうしゅこう)」の大規模な漏水問題をめぐり、明治用水土地改良区は1日、漏水発覚後初めて農業用水を全面的に通水した。使用量の抑制を要請している工業用水も県企業庁が緩和を検討する。
農業用水はこれまで、2ブロックに分け、3日ごとに交代で通水。水の需要が増える夏場に向け、東海農政局がポンプを41台増やして計203台とし、右岸の取水口も含め毎秒16・6立方メートル(1日午後2時時点)を確保した。安定的な取水のため、左岸の取水口からも水が取れるように応急工事を進めている。
ただ土地改良区は今後、取水量によっては一部で再び断水する可能性もあるとする。担当者は「必要量を使い、節水へのご協力をお願いします」と話した。
一方、使用量を通常の75%に抑制するよう各企業に要請している工業用水について、管轄する県企業庁は、2日ごろまで実際の取水量を見守った上で、使用量の緩和を検討していきたいとしている。
左岸側の堰(せき)周辺の調査で、幅5・8メートル、高さ1・8メートルの空洞が見つかっており、東海農政局は本格的な復旧工事に数年かかるとの見通しを示している。(山下寛久)
「なんとか間に合った」
農家からは安堵(あんど)の声が聞かれた。
「ようやく安心して水が流せる」。愛知県豊田市でイチジクなどを育てる岩崎澄雄さん(71)は胸をなで下ろした。
イチジクは、これから収穫が…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル