「しあわせ」届けるロードスター 池井戸潤の胸を衝いた開発者の言葉

池井戸潤が撮る 日本の工場

 「半沢直樹」シリーズなどでおなじみの作家、池井戸潤さんが仕事の現場を訪ねる企画が、朝日新聞土曜別刷り「be」で連載中です。今回はマツダ(本社・広島県)を訪ねました。クルマ好きに愛され続ける名車ロードスターの製造現場にカメラとペンで迫ります。デジタル版では池井戸さんが撮影した写真をたっぷりご覧いただけます。

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 自分が乗っているから言うわけではないが、マツダ・ロードスターは世界に冠たる名車である。

 誕生は、1989年。

 ふたり乗り。後部座席無し。幌(ほろ)式オープンカーで、比較的小さなエンジン。お世辞にもたくさんモノが積めるとは言い難いトランクは、実用性からほど遠い。

「こんなクルマ、ホントに売れるのか」

 発売当時、社内でさえ疑問の声があがったのもむべなるかな。

 ところが、この大衆的な値段のオープンカーは3度のモデル・チェンジを経ていまなお製造されており、発売から33年たった現在、世界中にファンクラブが存在する。生産台数は6月現在で117万台を超えた。

 乗ればわかるそのおもしろさ。意のままに操れる車体はまさに“人馬一体”である。

 いったいこのクルマが、どんな工場で製造されているのか。そして、実用的なファミリーカーやSUVを主力とするマツダが、なぜロードスターを作り続けるのか。その秘密に迫るため、広島県府中町と広島市内にある同社本社工場を訪ねた。

 広島駅からタクシーでおよそ…

Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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