成蹊大学の澁谷智子准教授は「昔から子どもが病気の親の世話をしたり、あるいは年長の子どもが年下のきょうだいの世話をするといったことはあったはずなので、最近になってヤングケアラーが増えたと言い切ることはできない。ただ、高度経済成長期以降、子どもは自分のことや勉強に時間を使うものだという考え方が定着していく中、“自分のやっていることはヤングケアラーなんじゃないか”と認識する方が増えてきている部分はあると思う」と話す。
■「“しんどい”という認識も持たなかった」
高橋唯さん(22)は、幼い頃から母・純子さん(50)のサポートをしながら暮らしてきた。純子さんは高校時代に交通事故に遭い、右半身麻痺や脳機能障害の後遺症がある。記憶力や注意力は徐々に低下、言葉が出てこないなど認知症に近い症状が出ているという。「お皿を汚れたまましまってしまうとか、冷蔵庫の中で何かをこぼしたままにしたり、扉を開けっ放しにしたりしてしまう」。 中学生になると、“なんでお母さんの面倒を見なければならないんだろう”“今こうしている時間にも勉強している人はいるんだよな”と感じるようになったという唯さん。ただ、“これが自分にとっては当たり前。人に相談したところでどうにかなるものでもない”と考え、“しんどい”という認識も持たなかったと振り返った。
■「自分が頑張らなければという一心だった」
「自分が頑張らなければという一心だった」と明かすのは、高校生の頃から母の介護をするようになったふみかさん(29)だ。 「脊椎が竹のように固くなってしまう強直性脊椎炎という難病で、重い物が持てなかったり、扉が開けられなかったりと、日常の家事全般ができない状況だった。私が高校生くらいの時に悪化して、ずっと寝ているような状況だった」。 父親一人のケアには限界があり、遊びたい盛りのふみかさんもサポートに加わった。「自分が外に出られるのが申し訳ない気持ちでいっぱいだった。修学旅行に行った時にも、母を一人にしておくことが不安で、罪悪感みたいなものを感じてしまった。だから介護をして当然と思っていたし、進学先も親の介護をしながら行けるので、地元の大学を選んだ」。 社会人になった今も悩みは尽きない。「結婚について、すごく不安を感じている。介護をしていることを明かすと、“君を支えきれない”と言われ、お別れされたこともある。一緒になってくれる人が出てくるのかなって」。
Source : 国内 – Yahoo!ニュース
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