「ずっと気にかけていた」 知床事故の3遺体引き渡しに安堵の声

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佐野楓、神村正史、中沢滋人

 知床半島沖で4月に観光船「KAZUⅠ(カズワン)」が沈没した事故で、北方領土国後島とロシア・サハリンで5~6月に見つかった3人の遺体が10日朝、海上保安庁巡視船「つがる」で小樽港小樽市)に到着した。発見から最長で約4カ月を要した遺体の引き渡しに、関係者からは安堵(あんど)と、まだ残る不明者を思う声が聞かれた。

 遺体は5月6、18日に国後島で見つかった男女と、6月28日にサハリン南部で見つかった男性の計3人。ロシア側の鑑定で、国後島の遺体はカズワン甲板員の曽山聖(あきら)さんと道内の女性、サハリンの遺体は、道内の男性とデータが一致した。第1管区海上保安本部が改めて鑑定し身元を特定する。

 観光船が使っていたウトロ漁港(斜里町)から漁に出る漁業者は、事故があった4月23日の翌日から5月末まで何度も大規模捜索に当たった。

 ウトロ漁協などでつくる「斜里救難所」の救助長、米沢達三さん(68)は、「遺体がロシア側で発見されたニュースを見たときから、『いつ返してくれるのか』とずっと気にかけていた。ようやく、家族の元に帰れるんだなと思った」と話す。

 米沢さんも捜索で指揮を執ったが、遺体を見つけることができなかった。事故から4カ月以上が経った今も無念さが募る。「現場近くの海底をもっと探せば、沈んでしまった人がいたかもしれない。まだ見つかっていない人のご家族に申し訳なく思う」

「ロシア人も突き動かされたんだろう」

 戻った遺体のうち2人は、国後島の西海岸でロシア人男性が発見した。

 「きっと私たちと同じように…

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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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