2020年1月末、前の60次越冬隊と61次夏隊が帰途へ就く日が迫る。約半世紀の歴史ある気象棟が消えた後、急ピッチで進むのは放球デッキの建設、気球で気象観測機を上げる場所だ。1日2回、ブリザードでも休まない。暴風で観測機が地面にたたきつけられそうな時は、思い切りダッシュして気球を空に放つ。滑らないよう、組み立てた鉄骨の上に木の板を張っていく。
南極に来てから「建材が足りない」では困るし、作業する隊員の多くは素人だ。まず国内で仮組みして確認し、ばらしてもって来る。記号や番号をつけた板を設計図通りに並べて、組み立てればいい。
とはいえプロの指揮は必須だ。ミサワホームグループ出身の鈴木聡さんは、壁際になる板を切って調整してはめていく。「何を手伝えば?」と聞くと、「切り口をきれいに」と紙やすりを渡された。ささくれを落として「どう?」と聞くと、「まだ」。黙々と作業を続けても「もういい」の声はかからないどころか「裏側もやって」と言われる。内心、「こき使うなぁ」と思っていた。
8月20日 南極記者サロン
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「あんな所までやるんだ」と…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル