「それ、本物の息子さん?」 84歳文房具店主がピンときた客の一言

 JR茅ケ崎駅(神奈川県茅ケ崎市)から徒歩15分ほど。時間がゆったりと流れる落ち着いた住宅街に、文房具店「きしや」はある。

 創業してもうすぐ60年になる。

 文房具はもちろん、子ども用のおもちゃも並ぶ広い店内は、平日の昼間も客足が絶えない。

 商品の棚を黙々と整頓し、静かにレジ前にたたずむのは店主の岸善之さん(84)。生まれも育ちも茅ケ崎で、市立第一中時代は、歌手の加山雄三さんと同級生だったのが自慢だ。

 「何十年もやっていればお客さんの顔も大体覚えている」

 事件は、そんな店で起きた。

大きな茶封筒を求める客は急いでいた

 3月上旬の午後。初めてみる男性が訪れた。岸さんと同じ80代ぐらいの男性だ。

 「茶封筒ありますか」

 常連客と同じように、男性客は尋ねた。

 「封筒ならここにありますよ」。岸さんは一般的な長型4号の封筒をみせたが、男性が何かに思いをめぐらせているように「入んねえなあ」と茅ケ崎なまりでつぶやいた。

 「もう少し大きいサイズなら…

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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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