「たかがヤジ排除、行き着く先は……」 道警ヤジ排除問題で市民集会

佐々木洋輔

 2019年夏の参院選で、札幌市で街頭演説中の安倍晋三首相(当時)にヤジを飛ばした市民が道警の警察官に排除された問題で市民団体が16日、札幌市内で「道警ヤジ排除を語る」集会を開いた。排除され提訴した原告の男女2人やジャーナリストの青木理氏らが参加。市民約200人と議論を重ねた。

 青木氏は元共同通信記者で『日本の公安警察』などの著書がある。集会では裁判で証人出廷した警察官がいずれも警備(公安)部門の警察官だったことに注目。青木氏は安倍政権が警察出身者を重用していたことから「警察政権だった」と表現し、ヤジ排除を「政権に対する異常な過敏さ、過剰な忖度(そんたく)が起きた」と推測した。「政治と公安の距離が近くなることは危険だ。たかがヤジといえども排除の行き着く先は戦時体制のような社会になる」と話した。

 ヤジ排除問題をめぐっては19年12月、排除された男女2人が道警側に表現の自由を侵害されたとして損害賠償を求めて提訴した。

 22年3月の一審・札幌地裁判決は、原告2人のいずれについても表現の自由が侵害されたと認め、道警側に計88万円の賠償を命令。原告側の「全面勝訴」となった。

 一方、今年6月の二審・札幌高裁判決は、聴衆が拳などで原告男性の腕を押すなど危険が切迫していたとして、男性に対する警察官の行為は適法だと結論。「半分敗訴」(原告側)となり、原告被告ともに最高裁に上告している。(佐々木洋輔)

有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。

※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません

Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

Japonologie:
Leave a Comment