「つながるかも」両親に電話、葬儀の後も… 娘に語り始めた命の重み

 0、1、9、3――。

 岩手県大槌町の海に近い高台にある「風の電話」。服部瞳さん(43)は11日、ボックスの中で黒電話のダイヤルを回し、実家にかけた。

 「きょうは暖かくていい天気。海も青くてきれいだよ」。心の中で亡き人に語りかけ、受話器を置いた。

 11年前のこの日、服部さんは盛岡市内で車を走らせていた。激しい揺れが道路から伝わり、信号機が前後左右に揺れる。大槌町の海岸近くに住む父倉本謙吾さん(当時65)に電話した。「大丈夫なの、すごい地震だったよ」。母光子さん(当時63)と2人で逃げるよう促して電話を切った。その後、電話がつながることはなかった。

 大工の棟梁(とうりょう)で…

この記事は有料会員記事です。残り823文字有料会員になると続きをお読みいただけます。

Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

Japonologie:
Leave a Comment