「できるだけ家族を一緒に」観光船事故が起きた町、貫く遺族への思い

 事故から42日目となった昨年6月3日。観光船「KAZUⅠ(カズワン)」の事故が起きた北海道斜里町では、ひとつの節目を迎えていた。

 町ウトロ支所に設けられていた現地対策本部がこの日で幕引きとなったのだ。

 午後6時前、支所で会見に臨んだのは、最前線で対応に当たってきた2人だった。

 「いまだに行方不明者の方がいらっしゃるということで、非常にじくじたる思いがある」

 そう悔しさをにじませたのは、国土交通省の坂巻健太・大臣官房審議官(当時)だ。

 事故直後から、現地対策本部長を務めてきた。坂巻氏はその間、不安や悲しみにくれる家族と向き合い続けてきた。

 会見の最後、目をふせながら自ら切り出した。

 「我々に対して怒りもあったかと思うが、ぐっと抑えていただいた。感謝とともに、ご家族におわび申し上げたい」

 坂巻氏とともに会見に臨んだ馬場隆町長にとっても、この日は忘れられない一日となった。事故当日の夕方から、ほぼ対策本部に張り付いていたからだ。

リュックに入ったお菓子やゲーム機

 「今日までの間ずっと、ご家…

Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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