「とことん付き合ってやろう」 タフな文筆家魂、不治の病でも健在

ノンフィクション作家・井口隆史さん

 告知から一夜が明けた。自分でも意外に思うほど、前夜の落ち込んだ気持ちを引きずっていなかった。幸か不幸か、病院生活はけっこう多忙で、感慨にふけっているひまがないのだ。

 検査中からリハビリテーション科に通わされていて、この日課にも変更はなかった。理学療法(私の場合はもっぱら杖で歩く練習)と作業療法(手作業の訓練)、言語療法(発声・発語など口の訓練)を受ける。担当の療法士は、いずれも20代の若い男女だった。

 彼らは私が病名を告知されたことを、すでに朝のミーティングで知らされていた。病室までやってきた女性の言語聴覚士は、「次回から、透明文字盤の使い方を練習しましょうね」と告げた。

 ALS患者は病気が進行する…

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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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