「とりあえず入院」の危うさ、沖縄のコロナ第6波でみえた大切なこと

 年明けから新型コロナウイルスの感染が拡大し、人口あたりの感染者数が全国最多だった沖縄県。高齢者対策が要になった第6波では、点ではなく面で感染者を支えることが求められた、と言います。見えてきた病床確保以外の重要なものとは? 県の政策参与で、県立中部病院感染症内科の高山義浩副部長(52)に聞きました。

 ――高齢者施設で感染がわかると、施設内療養ができるよう、支援チームが入りました。何をして、どんな効果があったのでしょう。

 入所者でも職員でも、1人でも陽性がわかれば、原則として24時間以内に医師が施設に入ります。

 高齢者がくらす介護老人保健施設などだけでなく、障害者施設など、すべての社会福祉施設が対象です。ゾーニングや防護服の脱ぎ着などの対策はもちろん、感染が確認された入所者の状態をみて、人工抗体薬などの治療をすみやかに始めます。

 こうした対応の積み重ねが、医療にアクセスできずに重症化することを防ぎ、亡くなる人を減らすことにつながってきたと思います。

 施設職員の不安を取り除くことも大事です。不安が高まるとパニックになり、本当に必要でなくても救急車を呼んでしまう。搬送が続けば、運ばれた病院もパニックになりかねません。こうした事態を避けたいのです。

パニック防ぎ「安心」を

 ――支援はいつ、始まったのですか。

 沖縄県で、最初に高齢者施設での陽性を確認したのは、2020年7月末でした。

 翌日、私は県職員と在宅医師、訪問看護師と一緒に施設に入りました。当時はコロナについてよくわかっておらず、職員がパニックになっていました。現場に行かなければだめだと思いました。

 最初の事例から支援に入り、20年11月には、迅速支援チームの派遣が県の制度になりました。

 初期対応をきちんとしたうえで、「いまは大丈夫ですよ。いつでも相談にのりますから」。そう伝えれば、安心がうまれるのです。

 チームの大事な役割として、入院前トリアージもします。

 ――入院前トリアージとは?

 大半の施設には医師はいませ…

Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

Japonologie:
Leave a Comment