真新しいランドセルを背負った新1年生27人が、青空の下、長いすに座っていく。
コロナ禍の2020年春。奈良市立右京小学校の入学式は体育館ではなく、運動場で開かれた。
風が吹く度、子どもたちの頭上に満開の桜から花びらが降り注ぐ。担任の古川宗治さん(46)にとって、屋外で開く、初めての入学式だった。
その1カ月前、学校が一斉休校となった。
2年生の担任だったが、子どもたちにきちんと話もできないまま、3学期が終わった。気を紛らすためにつけたラジオが響く教室で1人、残った掲示物を外し、新年度に向けて片付けた。
3月末、校長から新1年生の担任を頼まれた。日々「できること」が増えていく1年生を受け持つことは毎回、楽しみでもあった。だが、この時は不安が入り交じった。
27人に会えるのは入学式のみ。式の後にはホームルームすらなく、次に登校できるのはいつになるのかわからなかった。
「どうやって関係を築いていけばいいのか」
運動場での入学式を終え、5…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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