企画展「表現の不自由展・その後」の中止をめぐる騒動が続く国際芸術祭「あいちトリエンナーレ2019」。芸術監督の津田大介氏が8月15日夜にツイッターを更新し、一連の騒動の経緯を説明して謝罪する文章を公表した。
「あいちトリエンナーレ2019『表現の不自由展・その後』に関するお詫びと報告」と題した長文は、冒頭で混乱を招いたことについて「芸術監督として、責任を重く受け止めています」と謝罪。「現時点で僕が皆様にお話しできることをお話しします」と書き出した。
「表現の不自由展・その後」は、河村たかし名古屋市長の発言や出展作品に対する抗議・脅迫が殺到するなどの経緯があり、8月3日に開始わずか3日での中止が決まった。その後は企画展の実行委員会メンバーやトリエンナーレに出展している作家などから中止判断に批判が集まっていた。
津田さんは2日に「また一つ『表現の自由』が後退したかもしれない」と危惧する声明を発表。中止が決まった3日には、記者会見で「断腸の思い」と苦渋の決断について語ったが、それ以来、津田さん自身のコメントや感想はTwitterなどでも封印していた。今回のブログの文章は、中止以来初めて津田さん自身が口を開いたかたちだ。(中村かさね/ハフポスト日本版)
「表現の不自由展」、開幕ギリギリまで伏せられた理由は?
「表現の不自由展」はもともと2015年に、「平和の少女像」など美術館で撤去された作品などを集めた展示だった。今回の「表現の不自由展・その後」は続編にあたる。
津田さんは、出展作品を選定する段階で、「平和の少女像」について「様々な懸念が予想されるため、実現が難しくなるだろう」とオリジナルの「表現の不自由展」の実行委に伝えていたという。
だが、「展示の根幹に関わるという理由で『少女像を展示できないのならば、その状況こそが検閲であり、この企画はやる意味がない』と断固拒否された」とし、最終的には”事前検閲”にならないよう、実行委の判断を優先したと明かした。
さらに、当初は6月末に出展作品について記者発表し、開幕までに十分な議論の時間を設けるはずだったが、警備の関係で直前まで内容を周知できなかったことも報告。
街宣車やテロ対策などの点から「1カ月前に内容を告知すること自体が大きなリスクになる」との意見が専門家から上がり、警備上の都合からやむをえず、「安全性を高めるには、会期直前で内容を発表した方がいい」という結論に至ったという。
また、抗議電話の殺到についても、新国立競技場の建築コンペの状況などを参考に、市民からの意見を受け付けるためのコールセンターなどへのアウトソーシングも検討した。だが、説明責任が必要な行政としては「ふさわしくない」と結論づけた。
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Source : 国内 – Yahoo!ニュース
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