「なぜ執行日を教えない」ある死刑囚の問い 平常心と恐怖心に揺れて

 「廃止か存続か」の二者択一だった死刑論議。執行を直前まで本人に告知しないのは憲法違反だとの訴えが起き、執行のプロセスなど「刑の実態」に光が当たった。2年ぶりの執行を機に考えたい。

死刑の是非めぐる議論への違和感 ノンフィクション作家・斎藤充功さん

 千葉県内でマブチモーター元社長宅に押し入って元社長の妻と娘を殺すなど、強盗殺人で計4人を殺害した小田島鉄男死刑囚と11年間、面会を続けました。「処刑の日まで付き合う」と約束して身元引受人になり、2017年に食道がんで死亡するまで、東京拘置所通いは131回に及びました。

 同世代ということもあり、食糧難の中で育った互いの子ども時代の話をするなど、時には口論になりながらも、付き合ってきました。死刑確定後の面会は、親族以外には厳しく制限されるなかで、彼にとって身元引受人である私が、ほぼ唯一の面会相手でした。

 11年間、小田島鉄男死刑囚と面会を続けた斎藤充功さんは「『死刑囚の心情は計り知れない』ということを、知ろうとすることは必要」と話します。 記事後半では、刑事学研究者の永田憲史さんが死刑確定者の恐怖や苦痛の観点から、告知は「死刑確定者が選べるようにすべきです」と話します。ドキュメンタリー映画監督の坂上香さんは、米国で死刑囚の「最後の晩餐」メニューが新聞に掲載されたことなどを例に、日米の情報公開の違いについて述べます。

 「なんで死刑執行は、事前に…

Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

Japonologie:
Leave a Comment