「なぜ新聞に4コマ漫画が載っているのですか」
この夏、朝日新聞東京本社のお客様オフィスに、小学6年生から、こんな質問が寄せられた。夏休みの自由研究だろうか。
日頃、漫画関連の取材をする私だが、上司を通じて、その問い合わせを受けた時に、はっとした。
調べたことも、いや、そもそも考えたことすらなかったからだ。
素朴がゆえに難問だ。新聞に4コマは当たり前……。そんな固定観念に縛られていた我が身を恥じながら、この夏、その歴史を「自由研究」した。
そもそも、絵とセリフでメッセージや物語を伝える漫画という文化が、日本で発展したのはいつからか。
漫画史研究の第一人者、故・清水勲さんの著書「四コマ漫画――北斎から『萌え』まで」(岩波新書)などによると、漫画は、明治時代に、新聞や雑誌といったメディアが相次いで登場したことで、そこが作品発表の主要な場になったという。
当時新聞では、日々の政治ニュースなどを風刺する、海外の影響を受けた1コマ漫画などが読者の人気を呼び、各紙が相次いで掲載するようになった。「新聞というメディアにとって、そもそも漫画は欠かせない存在だった」。1コマ漫画誌「EYEMASK」の発売元を経営し、新聞漫画の研究家でもある岡部拓哉さんはそう語る。
朝日新聞でも、芸術家の岡本太郎の父で漫画家の岡本一平が1912(大正元)年に入社したことで、政治漫画が人気を呼んだ。福沢諭吉が創刊した時事新報では北沢楽天が時事漫画を描いた。
1コマから複数コマまで……。様々なコマ数で、社会風刺などを目的とした漫画が載ることが日常化していくなかで、ある時期から4コマ漫画が定着するようになる。
「4コマ漫画には、どのような工夫がありますか?」。小学生からはこんな質問も寄せられました。記事後半で、朝日新聞夕刊の4コマ漫画「地球防衛家のヒトビト」の作者、しりあがり寿さんに語ってもらいました。
「四コマ漫画――北斎から『…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル