「なぜ母は」息子に答えられるように 京アニ事件4年、遺族の覚悟

 京都アニメーション第1スタジオ(京都市伏見区)を襲った放火殺人事件から、18日で4年。亡きひとへの遺族の思いは、ますます強まる。

 長男の寝顔を見て思う。顔つきが大人っぽくなってきた。

 「ママに似てきたな」。そう話すたび、長男は顔をほころばせる。

 妻は京都アニメーションで「作画のエース」として知られた池田晶子(しょうこ)さん(当時44)。人気アニメ「涼宮(すずみや)ハルヒの憂鬱(ゆううつ)」や「響け!ユーフォニアム」のキャラクターデザインを手がけた。

 夫(50)は今、小6の長男と2人で暮らす。妻がデッサンに使っていた自宅3階の机には、中学受験の参考書が並ぶ。その机で長男と並んで座り、鉛筆を握る。遅いときは日付が変わるまで、勉強をみる。

 きっと妻は、長男の将来を心配している。長男にも母のことをずっと覚えていてほしい。だから積極的に「ママ」のことを話す。

 「ママ、どうしているかな?」。最近そう聞くと、長男が答えた。

 「生まれ変わる準備をしていると思う」

 あれから4年。子どもなりに母の死を受け止め始めているのかもしれない。でも、最初から母の話を自然にできたわけではなかった。

 あの年、長男は小学2年生だった。

 事件から間もなく、自宅の寝室で親子2人並んで寝ていると、長男の布団がごそごそ動いた。声をかけても首を横に振るだけ。

 長男は泣いていた。

 何でも言ってほしい。そう伝えると、ぽつりと返ってきた。

 「さみしい」

 長男はしばらく母のことを話…

Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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