昨年のNHK連続テレビ小説「なつぞら」に登場した「天陽くん」。東京ステーションギャラリー(東京・丸の内)の「神田日勝(にっしょう) 大地への筆触」展は、そのモデルとなった画家の全容を紹介しています。「農民画家」とされがちな神田の歩みを、没後半世紀の今、時代と共に生きた画家としてとらえ直しています。コロナ禍で臨時休館中ですが、32歳で早世した神田の、東京では42年ぶりとなる個展を「蔵出し」します。
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没年の作で、未完のため、背景はベニヤのまま。メインのモチーフを一方向からブロックごとに完成させてゆく手法が分かる。
2メートル角ほどの大きなベニヤに描かれた、半身だけの黒い馬。衝撃的な「馬(絶筆・未完)」(1970年)は、腎盂(じんう)炎による敗血症で亡くなった年に描いた代表作だ。北の大地に生き、道半ばで病に倒れた、独学・孤高の画家のイメージにピタリと重なる。生々しいほどに克明に描かれた馬の断ち切られたような姿が、その思いを強める。
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独学なのは確かだが、この展覧会が明かすのはむしろ、わずか15年ほどの間に「同時代の美術動向に敏感すぎるぐらいに反応した」(冨田章・東京ステーションギャラリー館長)姿だ。
37年に、現在の東京都練馬区…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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