新型コロナウイルス感染症の影響で、一部自治体に経済活動の再開を模索する動きはあるものの、引き続き感染への警戒と、営業自粛の状況がつづいている。テレワークを続ける筆者が取材に出歩けぬストレスを抑えつけ、時間つぶしに東京都が先月公表した休止要請施設を熟読していると、気になる名前がその中にあった。「のぞき劇場」である。遠い日の記憶に残る言葉だが、初めて知った若い人も多いだろう。どんな「劇場」なのか。夜の世界を長年取材してきたライターの伊藤裕作さん(70)に詳しく聞いてみた。(小泉信一)
拡大する「のぞき」という言葉は時代のキーワードだった。この店は喫茶サービスを兼務していたという=1980年代前半、東京都内、伊藤裕作さん提供
――「のぞき劇場」は法律で使われている言葉なのですね。風営法施行令第2条を参照しましたところ、「性的好奇心をそそるため衣服を脱いだ人の姿態又(また)はその映像を見せる興行の用に供する興行場」と規定していました。
そうです。法で規定された施設で、許認可権は各自治体の長が持っています。
衣服を脱いだ姿を見せる興行場にはストリップ劇場もありますが、そこに席と席を区切る敷居はありません。舞台の上ではスポットライトに照らされた踊り子が交代でショーを繰り広げました。
一方、「のぞき劇場」は基本的にパフォーマーが1人。それをのぞく観客も1人。完全な「個の世界」です。ストリップでは満足できない人が足を運んだようですね。20分2千円が相場でした。新宿・歌舞伎町などいまは全国でも数えるほどしか残っていないようです。それなりにニーズはあるのでしょう。
――いつごろ誕生したものでしょうか。
諸説ありますが、有力説では、…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル