東日本大震災から半年後、東京電力福島第一原発の近くに住み、被災した姉を気遣う妹の「ひととき」が載りました。その後、朝日新聞には姉を励ますたくさんの手紙が届きました。あれから10年。姉は一変した暮らしに葛藤を抱えつつも、福島で「あのとき」を風化させまいと過ごしています。妹も投稿をきっかけに、寄付活動をしました。(及川綾子)
拡大する姉の斎藤さん(左)と妹の間渕さん=間渕さん提供
子どもいなくなった公園でひとりブランコをこぐ
姉の斎藤恵美子さん(66)は福島県相馬市で暮らしていた。震災で自宅の家具が倒れるなどしたが、夫とともにけがはなかった。その後、約40キロ先の福島第一原発で事故が起きた。「私たち被曝(ひばく)するんだ」と覚悟した。
3月16日、妹の間渕美音子さん(62)が住む川崎市の実家に一時避難を決めた。朝から8時間並び、2千円分給油した車を1人で夜通し運転した。内科医の夫は「1人でも患者さんがいる限り病院に残る」と言った。
福島県浪江町に住んでいた長男…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル