「へいわって?」ウクライナの子へ思い託し 日本の絵本、翻訳広がる

 日本の絵本「へいわって どんなこと?」(浜田桂子作、童心社)がウクライナ語とロシア語に翻訳され、読み聞かせ動画がユーチューブで公開されている。「平和」の定義を絵と文で表現しており、ロシアによるウクライナ侵攻から半年になる中、各国で翻訳が進む。絵本に込められた思いをたどった。

 「きっとね、へいわって こんなこと」。ページをめくると、子どもの目から見た答えが次々と現れる。「せんそうをしない」「あさまで ぐっすり ねむれる」「おもいっきり あそべる」――。

 翻訳を企画したのは滋賀大の客員教授近兼敏(ちかかねさとし)さん(68)だ。2年前に学生らがポーランド語訳の動画を制作しており、今年2月、ウクライナからの避難民の子ども用に再配信した。その後、ウクライナの国立ドニプロ大と滋賀大の学生らが、作者の浜田桂子さん(74)を交えたオンライン会議を開き、ウクライナ語訳に取り組んだ。

 5月にウクライナ語訳が完成し、配信が始まった。ウクライナからはアンナ・プチェロヴォドヴァさん(21)、カテリーナ・イグナトバさん(21)らが参加。2人は7月、戦火を逃れ、滋賀大に留学してきた。ウクライナ国内のロシア語圏の子に向け、近兼さんは、8月にロシア語訳も完成させ、公開した。

 この絵本はもともと日・中・韓3カ国の作家12人による「平和絵本」シリーズとして、2011年に出版された。

 最近、難民キャンプのボランティア団体や英語教室の子どもたちが訳した英語やスペイン語、ポルトガル語の音声版や動画が、浜田さんの元に届く。中には自分たちで新しく絵を描いたものもある。

 浜田さんは「ロシアのウクライナ侵攻後、平和のために何かしたいという人々の思いが、この本に託されているのかもしれない」と話す。

 原本では自転車やおもちゃ…

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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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