「ほめて育てる」親は不適切? 自己肯定感より自己愛肥大化の指摘も

記者コラム「多事奏論」 岡崎明子

 自慢じゃないが、脚本家宮藤官九郎さんと私の生年月日は1日違いだ。というわけで、TBS系で放映されたドラマ「不適切にもほどがある!」は、同じ時代を生きた一人としてツボにはまった。

 物語では、阿部サダヲさん演じる昭和のオヤジがひょんなことで1986年から2024年にタイムスリップする。彼の言動は今の常識では甚だしく不適切なのだが、コンプライアンスで縛られた令和の人たちの価値観を揺さぶりまくる。

 私が育った昭和は、体罰上等、セクハラ夜露死苦!、喫煙なめんなよの世界だった。ことあるごとに昭和の価値観を唾棄(だき)している身としては、戻りたいとはまったく思わない。でも、今が100倍生きやすいかといえば、そんなことはない。

 そう思うエピソードの宝庫だったが、印象的だったのが、ゆとり世代の社員が「期待しているよ」とZ世代の後輩をほめたら「ハラスメントだ」と訴えられた初回のシーンだ。自分だけほめられて気まずかった、叱られたかった――というのが、後輩の言い分だった。

 世代でくくることへの違和感はあるが、Z世代の60%以上が上司に「人前でほめられたくない」と考えているという調査結果もある。周囲から目立つのが嫌なのだそうだ。「ほめる時は、人前の方がより効果的」と何かで読んで以来、心がけてきたのに――! 金沢大の金間大介教授の著書「先生、どうか皆の前でほめないで下さい」では、自己肯定感の低さが背後にはあると指摘している。

 はて、昭和時代に比べ、今の…

Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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