「まだ一緒にいたかった」結婚50年の妻、豪雨に奪われ…夫は絶句(西日本新聞)

 記録的な大雨が九州全域を襲った。既に甚大な被害が出ている熊本県でも再び雨脚が強まり、行方不明者の捜索活動は一時中断。各避難所に身を寄せた住民たちは「さらに被害が広がるのでは」と不安を募らせた。 【写真】「なんもかんもやられた」防災長ため息 球磨村、明治の鉄橋も崩壊  「まだ一緒におってもらいたかった。お礼もできず…」。6日、熊本県芦北町内の寺院。亡くなった同町箙瀬の山本レイ子さん(78)の夫守さん(75)は通夜の準備の手を止め、絶句した。  激しく雨が降っていた4日午前3時すぎ、隣人から「そこまで水がきている」と電話があった。外に出るとみるみる水かさが上がり、雨どいにしがみついて屋根に上がった。家の中にいたレイ子さんを呼ぶ声は雨音にかき消された。「水がきとるね」「増えとるね」と交わした言葉が最後になった。  集落の人が流してくれたボートに乗って助かった。水が引いた午後、自宅に戻ると、玄関でレイ子さんが倒れていた。「長男の遺骨を取りに行ったのだろう」。48歳で急死した長男の法要を終えたばかりだった。  けんか一つしたこともなかった。いつも「おまえがおらんと、俺は何も分からんとよ」と話した。今年で、結婚から50年だった。

仲良し両親「まさか」

 豪雨は各地で土砂崩れも起こし、多くの命を奪った。「最後は2人が近くにいてくれて良かった。仲良しだったから」。同町女島で命を落とした小崎清一さん(69)、峰子さん(68)夫婦の三女奈美さん(40)は話した。  4日午前5時ごろ、心配した姉からの電話で目が覚めた。居間でニュースを見る父と、台所にいた母を見たのが最後だった。「ゴォー」という音が聞こえたと思うと、数秒後に土砂が入ってきた。倒れるタンスをよけ、携帯電話で119番した。近くの住民に引き出してもらうまでの10分間は「両親の安否だけを気にしていた」。  心残りは、新型コロナウイルスの影響で延期したままだった清一さんの退職祝いと、来年に予定していた両親の古希のお祝いができなかったこと。土木会社に勤めていた清一さんは、災害で傷んだ道路や橋の修復に関わっていた。「まさか、自分が土砂崩れで亡くなるとは思ってなかったでしょう」と目を伏せた。

Source : 国内 – Yahoo!ニュース

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