新型コロナウイルス感染症の感染が再拡大している大阪府と兵庫県、宮城県に対し、政府は「まん延防止等重点措置」(まん防)を初めて適用する。緊急事態宣言を出す前段階での仕組みとして位置づけられ、緊急事態宣言の前から私権制限を部分的に行い、違反者に罰則を科せるようにできることが特徴だ。
新型コロナ対応の特別措置法は、「実効性を高める」(官邸幹部)ねらいでこの2月に改正・施行された。これに伴い、緊急事態宣言下で飲食店が休業や営業時間の短縮の命令に応じない場合、行政罰として30万円以下の過料が設けられた。また、宣言前でも時短命令を出せる「まん防」が新設され、命令に応じない場合は20万円以下の過料となる。
緊急事態宣言は、感染状況の指標が最も深刻な「ステージ4(感染爆発段階)」相当を要件とするが、「まん防」は「ステージ3(感染急増)」相当だ。緊急事態宣言に至る前段階で対策を打つことで、早期の感染収束につなげたい狙いがある。
「まん防」は国が都道府県や期間を決めるが、具体的な対象区域や対策は知事が判断する。対象地域についても緊急事態宣言とは違いがある。緊急事態宣言は都道府県単位だが、「まん防」は市区町村単位や一部地域で指定することができるため、より細かな対策を打つことが可能とされる。
一方、緊急事態宣言は幅広い業種に時短や休業命令が可能だが、「まん防」では、感染拡大のリスクが高い飲食店などに対象が限定される。「まん防」は時短の要請と命令だけが可能で、休業要請はできない。
コロナ対策にあたる政府関係者は「まん防を適用しても、対策が徹底できなければ効果は上がらない」と話す。今回、「まん防」が適用される関西は1カ月前に緊急事態宣言を解除したばかり。「宣言慣れ」や「自粛疲れ」が指摘されるなか、「まん防」に基づく時短がどこまで効果を上げるか。首相官邸幹部は「やってみないと分からない」との見方を示す。(永田大)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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