神戸の繁華街・東門街で今年、みかじめ料を要求したとして暴力団組員らが逮捕された。みかじめ料を巡る検挙は兵庫県内では2年ぶり。県警は、新型コロナ禍からの経済活動の再開を見越して新たにオープンする店が、暴力団の標的になっているとみて警戒する。
県警生田署が恐喝未遂の疑いで逮捕したのは、特定抗争指定暴力団山口組系組員の男(54)ら2人=同罪で起訴。
起訴状などによると、2人は6月7日夜、東門街の路上で飲食店のチラシを配っていた女性に近づき、次のように脅したとされる。
「ここでビラ配ってもうたら困るんや。わしらここらへん、仕切らせてもらっとるんやけど」
「みんな2万円払うてもらってる」
「こないだも下の店でルール違反したやつがあってな、30万円払ってもらって店も潰した」――。
署によると、男は県警の調べに対し、「女性にアドバイスしたことに間違いないが、金の話はしていない」と供述したという。
みかじめ料は、暴力団が縄張りとする地域の飲食店などから用心棒代などの趣旨で取り立てるお金で、シノギ(資金源)の一つ。
語源は諸説あるが、ベテラン捜査員は「毎月3日締めで取り立てる、または要求から3日以内に払わないと締め上げる、などが由来とされている」と話す。
かつては主要なシノギの一つだったが、近年は目立たなくなっていた。県警によると、恐喝や県暴排条例などによるみかじめ料関連の検挙人数は、2017年が5人、18年が10人だったが、19年が3人、20年が2人、21年はゼロだった。19年2月に施行された改正県暴排条例で、みかじめ料の受け渡しが罰則付きで禁じられたことが影響していると県警はみている。
しかし今年は、すでに3人が検挙された。県警が着目するのは、6月の被害の店が、新規出店だった点だ。
東門街のある飲食店主が「古くからのスナックや飲み屋が新型コロナ禍を機にいくつも店を閉め、店の顔ぶれが変わった」と語るように、コロナ禍で閉じたテナントに新しい店がオープンするケースが目立つ。
こうした街の変化を好機ととらえて、「組員が新たな資金源の開拓を狙っている可能性がある」と捜査関係者は警戒する。
県警は暴力団による被害や介入を受けた人の相談を受け付けている。連絡先は(0120・20・8930)へ。(小川聡仁)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル