新卒の就職活動のクチコミ情報サイト「楽天 みん就」で、企業側からスカウトメールなどが届く「スカウト会員」に登録する際に、国籍が登録事項になっていたことがわかった。サービスを運営する楽天の広報によると、登録は任意で、会員の約5%が登録。実際に企業側がメールを送る際、国籍で選別していた例もあったという。
朝日新聞の取材に対し、楽天は「直ちに差別的な取り扱いにつながると認識していなかったが、ダイバーシティーを尊重する当社の方針と合致しない」と説明し、5日にこの項目を削除したという。
同社によると、「スカウト会員」は登録すると、企業からインターンの募集や会社説明会の案内などのメールが届く仕組み。企業側が、求人に合った学生に絞って「スカウト」ができるサービスだ。
国籍のほか、大学名や学部、帰省先のエリアなど、学生に登録させるプロフィル項目は100以上あり、「効率的にダイレクトリクルーティングを活用したい企業様におすすめ」とうたっている。
楽天によると、国籍の項目は、2018年1月に「みん就スカウト」のサービスが始まった当初からあり、必須項目ではないが、約30万人いるみん就会員の約5%が登録している。実際に、企業側がメールを送る学生を選ぶときに、「国籍」の項目を使った例は十数件あったという。
国籍を学生選定の項目に入れた理由について、楽天の広報は「項目が設定された意図が現状の調査では分からない。サービス開始時に適宜、社内の関係部署による確認を行っているが、社内外から指摘がなかったため、項目として残ってしまっていた。国籍を登録しなくてもサービスが利用できることから、直ちに差別的な取り扱いにつながると認識していなかった」と説明している。
労働問題に詳しい笹山尚人弁護士は「職業安定法3条では、何人も、人種、国籍などを理由として、職業紹介や職業指導で差別的な取り扱いを受けることがない、と定めている。この規定に違反する疑いがあり、問題の大きい取り扱いだと言える」と指摘する。
国籍をめぐっては今年5月、牛丼チェーン「吉野家」が採用説明会に申し込んだ大学生に対して、本人に確認をしないまま、外国籍を理由に参加を断っていたことが問題になっていた。(牛尾梓)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル