天下の名湯と知られる草津温泉(群馬県草津町)で、「もうひとつの草津温泉」と銘打ったウォーキングツアーがある。温泉街をめぐるものの、見ていくのは、ハンセン病を癒やしに訪れた人々の足跡の数々だ。参加者は、歩きながら温泉文化の裏面史を考える貴重な体験ができる。
40~70代の5人が9月末、草津温泉バスターミナルに集まった。草津と長野・軽井沢を結び、1962年に廃線となった「草軽電気鉄道」の模型を前に、ガイドの小沢覚さん(66)は言った。
「これもハンセン病と関係が深い列車です。病者を乗せなかったんです」
日本温泉3大薬師として知られる近くの光泉寺などをまわりながら、湯けむりが漂う湯畑へ。草津温泉のシンボルらしく、旅館やホテルが立ち並ぶ。コロナ禍の打撃から、すっかり回復したのだろうか。国内外の観光客でにぎわっている。
記事の後半では、集団移転を迫られた患者たちが暮らした地域や町外れの療養所、監禁施設など参加者とともに記者がたどったツアーの内容を紹介します。
「昔、旅館の人たちは、彼らハンセン病者のことを、『裏壺(うらつぼ)の客』と言っていたんですね」
壺とは客間のこと。ハンセン…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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