2年以上続くコロナ禍で、すっかり見慣れた飲食店の貼り紙。時には嘆き、時には客を気遣う1枚1枚からは、店主の切実な思いが伝わってくる。私たちが初めて経験した緊急事態宣言からこの春まで、飲食店を取り巻く状況を、貼り紙からたどった。
「苦渋の決断 今ではなく未来のために 休業します」
3回目の緊急事態宣言が出されていた2021年5月下旬、東京都港区の居酒屋「魚バカ一代」の入り口には、そんなメッセージが書かれた黒板があった。当時の店長でメッセージを書いた近藤健介さん(51)は「苦渋」の意味をこう説明する。
「周りには開けている店もあって、正しい決断が何か分からなかった。本音はうちもやりたいけど、『クラスターが起きたら……』と思うと怖くて」
黒板はお客さんにオススメやその日の特別なサービスを知らせるために使っていたものだった。
先が見えない苦しい日々に、逆の決断をした店もあった。
「もう… 酒 だします!」
3回目の緊急事態宣言は解除…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル