囲碁の第44期名人戦7番勝負が27日、東京都文京区で開幕する。張栩(ちょうう)名人(39)に挑戦するのは芝野虎丸八段(19)。シリーズを制すると史上最年少で7大タイトル獲得の偉業を果たすことになる新星がロングインタビューで思いを語った。
虎のように鋭い目…ではない。質問を投げ掛ける度、芝野八段は目を丸~くして笑顔を浮かべる。「名人戦」という棋士にとって特別な響きを持つ勝負に向かう者とは思えないほど自然体だ。
「昔からの憧れのタイトルのひとつですけど、特別に何かを語るようなことはありません。他のタイトルと比べてどう、というのは正直ありません。ただ、初めての7大タイトル戦ですので大きな勝負ということは分かっています。でも特別に変わることはなく、このまま普段と変わることなく臨んで、いつもと変わることなく頑張れたらいいな、と思っています」
歴史に名を刻むか否かの大勝負を前にしても柔らかい表情を崩さない19歳が挑むのは、5冠王の経験を持ち、6期目を目指す張栩名人。自らが生まれた時には、もう棋士として時代を駆け上がっていた先人だ。
「私が囲碁を始めた頃にはもう大活躍されていたトップの先生なので。勉強で張先生の囲碁はたくさん見てきました。尊敬する棋士の1人です」
毎日10時間以上の勉強を課している、とささやかれていることについて「対局や仕事(イベントなど)がなくて家にいる時はそんな感じです」と認める19歳にとって、初めての挑戦手合。徹底的な事前研究に励んだものと思いきや…。
「いや、対戦相手の研究をすることはないんです。研究って…自分はしないんです。全くやりません。普段通り打てれば、相手は関係ないという考えなんです」
2014年9月、14歳で入段(プロ入り)して以降、快進撃を続けて来た。15年、新人ながら勝率1位に。17年には竜星戦を制し、翌年には世界最強と称される中国の柯潔九段(かけつ、22)に勝って囲碁界を騒然とさせた。
入段から4年11か月での7大タイトル挑戦は史上最速。勝利すると、井山裕太4冠(30)が名人になった当時の20歳4か月を超える史上最年少タイトルホルダーになる。11月9日が20歳の誕生日のため、10月17~18日の第6局までに決着させれば「10代名人」という常識を超えた栄誉にも輝く。
「(史上最年少の17歳で)名人リーグ入りをした時は、いろいろ記録を意識していたことはあるんですけど、今は…。10代での挑戦は厳しいと諦めていました。プレッシャーにならないように記録は気にせずに打ちたいです」
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Source : 国内 – Yahoo!ニュース
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