小早川遥平
モヤシの平均価格が、この1年で、1パックあたり2~3円上がった。「物価の優等生」といわれ、この30年、価格は下落傾向だったが、背景には業界ならではの事情が。原料などのコストが上がり、「もう耐えられない」と生産者が動いたことが、値上げにつながった。
工業組合もやし生産者協会の林正二理事長によると、天候などが収穫に影響し、常に価格が変わる他の野菜と違い、モヤシは機械化され大量生産できる。スーパーなど小売店にとっては、その安さで客を呼ぶための目玉となるため、価格を低く抑えられがちで、価格交渉自体が難しかったという。
1年で1割値上げ
ただ、最近は原料の種子や人件費が高騰。協会によると、戦後は1千程度いた生産者は昨年、110にまで減った。
危機感をいだいた協会は昨年、業界の窮状を訴える文書を作って全国のスーパーなど600社超に送付。さらに、11月11日の「もやしの日」を前に、新聞広告を出した。「安さばかりを追求していては、もう続けていけない状況です」。窮状を訴えるだけでなく、種子の生産地の労働環境の改善も含め、持続的なサプライチェーンを目指したいという思いは、消費者の反響を呼んだ。
林さんの会社では、取引先の95%が値上げに応じてくれた。他の組合員からも、値上げに応じてもらえないという話を聞くことは減ったという。今年9月の全国平均価格は、200グラムあたり34・54円で、前年より1割上がった。
ただ、購入数は前年を下回る月が続いているという。「その程度なら値上げしてくれ、というお声はいただきますが、消費者はシビアです。今でも十分安いことをご理解いただけるよう、ひき続き消費者の見方としてモヤシを提供していきたい」と林さんは話す。(小早川遥平)
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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