「わたし、定時で帰ります。」ドラマが問う、働くこと。 プロデューサーの新井順子さん、Superfly・越智志帆さんに聞いた。(ハフポスト日本版)

放送中のドラマ「わたし、定時で帰ります。」(TBS系列、火曜夜10時)が話題だ。

朱野帰子さんの小説が原作。吉高由里子さん演じる主人公の東山結衣は、中堅社員。かつて過労による事故で意識不明の重体となったことから、「残業ゼロ」をモットーとしている。

結衣を取り巻くのは、新人に厳しく当たりすぎて反発される同僚、子育てとの両立に苦しむワーキングマザー、ハラスメント体質の取引先、実力が伴わず不貞腐れる新人、赤字案件を取ってきて業務量を増やす上司…。

そんなメンバーが引き起こす、職場の「あるある」な揉め事。それぞれ、自分の信念や正義に基づいて行動しているから悩ましい。多様性の時代と言うのは簡単でも、様々な背景や考えを持つ人々がチームとして「働く」ことは、こんなに難しいのかと考えさせられる。

プロデューサーの新井順子さん(TBSスパークル)、「Ambitious」(6月12日発売)を主題歌として書き下ろししたSuperflyの越智志帆さんは、共に、制作にあたって、今の時代にとっての「働くこと」と徹底的に向き合ったという。2人に、話を聞いた。

「普通の人生であっても」プロデューサー・新井順子さん

プロデューサーの新井順子さんは「アンナチュラル」「中学聖日記」など近年の超人気ドラマを手がけるプロデューサー。制作現場にも容赦なく押し寄せる「働き方改革」の波には、複雑な思いも抱えているのだという。

私たちの業界は非常に特殊な働き方で、私自身はずっとモーレツに働いてきた。でも、こんな業界でも、時代が変わった。「働き方」について考えなくてはいけないっていうことを強烈に感じているんですよ。ADの人数が突然、倍になったり、休みのシフトを細かく組むようになったり。でも追加業務が発生して、私のような中間管理職にとっては、そのしわ寄せで逆に大変だったりもして。ある意味、生きづらい時代だなと思うこともあります。

「リアル」な職場の描写に、自分の境遇を重ね合わせる視聴者も多い。

このドラマは、基本的にビックリするような特別なことは起こらないんです。日常を切り取っているので、すべては普通の働く人が「ありそう~」と感じることが大事だと思っています。結衣ちゃんが何かを主張するときも「●●だよ!」ではなく「●●じゃないかなぁ~?」。

ガムシャラな20代を過ぎて30代に入って、周囲のこともよく見えるようになって、色々と別の悩みが出てくる。

不条理に立ち向かうんじゃなくて、当たり障りなくうまくその場を切り抜けるような……そういう控えめなヒロイン像を目指しました。「バランサー型ヒロイン」なんて呼ばれているようです。

結衣は、仕事が終わると中華料理店に出向き、ささやかにビールと小籠包で乾杯するのが楽しみだ。「才能ないし夢もないし楽しみもない」と嘆く後輩エンジニアの吾妻に結衣はこう語る。


私たちには給料日がある。私はそれを楽しみに生きてるよ。定時で帰ってビール飲んで、ドラマ観て、好きな人とおしゃべりして……。そういう時間を楽しめたらそれでいいかなって。その程度かと言われるかもしれないけれど、私にとってそれが一番の幸せだから。


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Source : 国内 – Yahoo!ニュース

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