仙道洸
奈良市教育委員会は6日、市内の小学校で女子児童が受けたいじめについて「重大事態」と認定したと公表した。また、この児童がノートに自殺をほのめかす内容を書いた際、担任教諭が花丸をつけるなどの不適切な対応があったこともあきらかになった。
市いじめ防止生徒指導課によると、市内の小学校に通う当時3年生の女子児童が2021年の2学期から昨年12月にかけて、同じクラスの男子児童に突き飛ばされたり、足を踏まれたりするいじめを受けていたという。
昨年2月、女子児童が下校準備中に男子児童に足を蹴られてけがをした際、保護者が学校に相談した。学校は児童に聞き取りをした上で、目撃した児童と女子児童の証言に食い違いがあるなどとして、調査を実施しなかったという。その後、改めて保護者らから申し入れがあり、同11月下旬から調査をしたところ、12件のいじめがあり、「重大事態」と認定した。
また、昨年6月には、女子児童が担任教諭と毎日やりとりする「自学ノート」に「わたしは死ねばいいのに」などと書いた際、担任教諭は花丸をつけ、「You can do it!!(あなたはできる) ファイト!!」と書いて児童に返していたことも判明した。同課は「生徒を励ましの気持ちで書いたのだと思うが、ひどい対応といわざるを得ない」とした。
女子児童は適応障害や心的ストレス障害の症状が続いているという。
女子児童の代理人を務める三橋和史弁護士は、市や学校の対応が「あまりにもずさんで、不誠実」とし、「つらい思いをしている中、勇気を出して先生に伝えようとしたのに、信じてもらえなかった。(学校は)命に関わる問題という認識が欠如している」と話した。
仲川げん市長は「子どもが言っていることをまず聞き、子どもの声を最優先することが大事」とした上で「全体的に問題があったと思う。どう改善していくか、提唱し、行動していくことが重要」とコメントした。
市教委は近日中に報告書をホームページに公表するとしている。(仙道洸)
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル