「現実的」な沖縄の世論
朝日新聞が沖縄で世論調査を初めて実施したのは1967年9月。復帰の5年前にさかのぼります。同じ時期に全国調査も実施し、本土と沖縄の民意の比較をしています。 「沖縄は日本に返されるべきだと思いますか」。この質問への回答に、本土も沖縄も85%が「返されるべきだ」と答え、差はありませんでした。 ただ、具体的に復帰の時期について聞くと、温度差がありました。 ◇ 【あなたのお気持ちとしては、沖縄が日本に返されるのは、早ければ早いほどよいと思いますか】
・本土=早いほどよい(81%)/そうは思わない(6%)
・沖縄=早いほどよい(60%)/そうは思わない(20%)
※その他・答えないは省略。有権者の中から本土は3000人、沖縄は2000人を選び、1967年9月、調査員が個別に面接調査した。有効回答率は本土86%、沖縄81%。対象者の選び方は、層化無作為二段抽出法。 ◇ 「早いほどよい」は本土の81%に対し、沖縄は60%にとどまり、慎重な姿勢がうかがえます。沖縄の人には、こんな質問もしています。 ◇ 【もし祖国復帰が実現したら、あなたの暮らし向きは、いまより楽になると思いますか】
・楽になる(17%)/変わらない(28%)/苦しくなる(30%)
【沖縄の祖国復帰が実現すると、アメリカ関係からの収入がへって、沖縄の経済が成り立っていかなくなるという意見があります。あなたはこの意見に賛成ですか】
・賛成(34%)/反対(32%)
※その他・答えないは省略。 ◇ 復帰で暮らし向きが「苦しくなる」は30%。「変わらない」や「楽になる」よりも多かったのです。そして、3人に1人が「復帰すると、経済が成り立っていかなくなる」という不安を持っていました。こうした先行きに不安を感じている人ほど、早期復帰に慎重な意見が多い傾向がありました。 先行きに不安を感じながらも、祖国復帰を望む沖縄の人の思いを、沖縄タイムスの比嘉博論説委員は、朝日新聞に寄稿した記事の中で「やむにやまれぬ民族的な叫びなのである」と代弁していました。
Source : 国内 – Yahoo!ニュース