「イタリア人がみんなモテると思うなよ」――。そんな副題を持つ漫画『ミンゴ』を描いているのは、イタリア出身の漫画家・ペッペさん(26歳、本名:デュラト・ジュゼッペ)。現在、リアリティー番組『テラスハウス TOKYO 2019―2020』(フジテレビ系列)にも出演し、注目を集めています。「日本はジローラモさんのイメージが強すぎる」と言い、漫画で自身の思いを投影したのは、シャイなイタリア人青年「ミンゴ」。日本人が持つステレオタイプに傷ついた経験がありながらも、「ステレオタイプはなくしたくない」と話します。その理由とは――。(朝日新聞デジタル編集部・野口みな子)
『NARUTO』で漫画家になると決意
《ペッペさんは、ローマの東に位置するイタリア・アブルッツォ州出身。16歳の頃に漫画家を志し、2015年、22歳で日本に移住しました。モデルとしても活動しながら、2018年に「週刊ビッグコミックスピリッツ」で佳作賞を受賞。今年10月、同誌で『ミンゴ イタリア人がみんなモテると思うなよ』の連載が始まりました。》
――ペッペさんが、漫画家を志したきっかけを教えてください。
アニメは子どもの頃から見ていたのですが、漫画に出会ったのは遅くて16歳の時でした。それからたくさんの漫画に影響を受けましたが、一番最初は『NARUTO』でした。読み終わったときに、『私も描ける!』って思ったんです。
どうしてそんな自信が持てたのかはわからないけどね、『NARUTO』はめちゃくちゃ傑作だから(笑)。でも、ひとりの人間がこれだけ素晴らしい作品をつくれるということを知って、それが私にも伝わったんだと思ったらワクワクしました。私もそんな「武器」が欲しいと思って、「漫画を描きたい!」って思ったんです。
――商業誌でデビューできる漫画家になるだけでも、かなりの狭き門です。漫画家になることや移住に不安はなかったのでしょうか。
人生は1回しかないから、やりたいことをやろうと思っていました。でも、もちろん怖かったですね。漫画が描けない時期もあるし、大学で日本語を学んだけど、漫画にできるほど上手くないから。
日本で漫画家デビューできたという、ヨーロッパやアメリカの人を知らなかったんですよ。どうやったら漫画家になれるか、Googleで検索しても、「無理です」「日本人は外国人が嫌い」って嫌なことを書いている人もいる。
でも、結局はあきらめなかった人しか、成功できないんだって思っていました。欧米人の漫画家がいない理由は、みんなどこかであきらめちゃうんです。日本語が難しい、絵に自信がない、日本が遠い、お金がない……どこかであきらめちゃう。
だからとりあえず出版社へ持ち込みに行くまでは、絶対にあきらめないと決めました。そうなると残るのは、自分の才能が足りるかどうか、それだけ。出版社の編集さんが、私の漫画を好きになってくれるかどうか。
それは考えてもわからないから、もし何か言われてもその時に考えようと思っていました。おかげさまで連載も持てて、本当にラッキーだなと思っています。今でも信じられない。
Source : 国内 – Yahoo!ニュース