「イランカラプテ」。アイヌ語のあいさつが来場者らを出迎えた。アイヌ文化の復興・創造拠点をめざす北海道白老町の「民族共生象徴空間」(愛称・ウポポイ)が12日、一般公開を始めた。アイヌをテーマにした全国初の国立施設。
入り口前には早朝から、約300人が列を作った。新型コロナウイルスの影響で、オープンが2度延期され、2カ月半ずれ込んだ。感染防止対策で入場者を制限し、初日は上限2千人に抑えられた。
セレモニーでは、政府を代表して刀禰(とね)俊哉・内閣官房アイヌ総合政策室長が「ウポポイはアイヌの方々の誇りが尊重される政策の扇の要として期待されている」と力を込めた。加藤忠・北海道アイヌ協会常務理事は「アイヌは寛容の精神を持っている。対話と交流を通じて、ウポポイができた」と述べた。
宇梶さん「アイヌのお互いを認め合う心、世界に」
鈴木直道・北海道知事は、「アイヌの歴史、文化に触れ、北海道を巡って魅力を楽しんでもらうきっかけになる」と観光面の役割に期待を込めた。PR役を務める俳優の宇梶剛士(たかし)さんは「豊かな歴史、受難や苦難の歴史を学び、やさしさやお互いを認め合う心が世界中に広まるといい」と話した。
ウポポイは、白老町のポロト湖畔の10ヘクタールに整備された。アイヌ民族博物館と民族共生公園、慰霊施設の三つの施設で構成されている。政府は、年間入場者100万人を掲げている。
ただ、新型コロナ対策で、当面は事前予約制とし、入場者は1日の上限を2千人とする。博物館も1時間ごとに、100人ずつ入場させる対応をとった。それでも、一度に数人しか入れない伝統的コタン(集落)前には、大勢の行列ができた。(西川祥一)
■初日は混乱、事前予約制が周知…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル