荒ちひろ、編集委員・北野隆一
名古屋出入国在留管理局の施設に収容されていたスリランカ人のウィシュマ・サンダマリさん(当時33)が死亡した問題で、家庭内暴力(DV)被害者支援などに取り組む団体が11日、外国人DV被害者の適切な保護を求める共同声明を出した。ウィシュマさんは生前、元交際相手からの暴力被害を訴えていた。共同声明を出したのはNPO法人「全国女性シェルターネット」や「ヒューマンライツ・ナウ」など5団体。
出入国在留管理庁(入管庁)の報告書によると、ウィシュマさんは昨年8月に警察に出頭し、名古屋入管に引き渡された際、元交際相手から殴る蹴るなどの暴力を受けたと訴えた。しかし入管庁は、庁内のDV事案措置要領が定める聞き取りや保護をしなかった。
専門家の詳細な調査もないまま、DV被害に否定的な結論を入管庁が出したことに対し、共同声明は「DVに対する認識不足も甚だしい」と断じた。声明は、ウィシュマさんがDV被害を訴えたことへの入管庁の対応についての再検証や、国籍や在留資格にかかわらず被害者が適切な保護を受けられるよう入管法やDV防止法の改正を求めた。
「移住者と連帯する全国ネットワーク」の山岸素子事務局長は「調査報告書はDVに関する常識から外れ、法務省として恥ずかしい内容。再検証は絶対に必要だ」と述べた。(荒ちひろ、編集委員・北野隆一)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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