川嶋かえ、新屋絵理
カジノを含む統合型リゾート(IR)事業をめぐる汚職と証人買収事件で罪に問われた衆院議員・秋元司被告(49)の被告人質問が、6月1日から東京地裁で始まる。贈賄側や買収の実行役らが法廷で罪を認めるなか、「すべて無罪だ」と訴える秋元議員自らがどのように語るのかが注目される。
秋元議員は、二つの罪に問われている。IR事業の進出を目指した中国企業側から現金など計約760万円相当の賄賂を受け取ったとする収賄罪と、その中国企業側に現金計3500万円を渡して、裁判でうその証言をするよう支援者らに依頼したとされる証人買収罪だ。
供述調書は検事のストーリー
贈収賄事件では、中国企業の元顧問2人が賄賂を渡したことを認めている。衆院が解散した2017年9月28日、議員会館の事務所で、ようかんが入った袋に現金300万円を入れて秋元議員に渡して「ありがとう」と言われたことなどを今年4月の公判で証言した。
賄賂を渡した理由は、「政府の中心で立案に関わるIR担当の内閣府副大臣で非常に重要」「より強力な後押しをしてほしかった」などと語った。
だが、秋元議員とともに収賄罪で起訴された元政策秘書・豊嶋晃弘被告(42)は5月の公判で、「(贈賄側と)面会した記憶はない」と説明。「国会議員にとって選挙は一番重要。票に関係ない人を重要な日に呼ぶのはあり得ない」とした。そのうえで、賄賂の授受を認めた捜査段階の供述調書は「検事のストーリー。真実ではない」と強調した。
秋元議員の弁護側も初公判で▽300万円の授受があったとされる時間は議員会館にいない▽IR関連で実質的な権限はなかった――などと主張している。
証人買収事件では、実行役を担った秋元議員の支援者ら4人が罪を認め、有罪判決をすでに言い渡されている。このうち3人が4月末から5月上旬に法廷で証言した。
証人買収罪は17年に改正組織犯罪処罰法で新設され、金銭で偽証を持ちかけた時点で未遂でも処罰できるようになった。今回の事件が初適用で、秋元議員は改正法の国会採決にも加わっていた。
IT関連会社の元経営者(5…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル