北海道釧路市の釧路赤十字病院の看護師だった村山譲さん(当時36)が自殺したのはパワハラなど職場のストレスが原因だとして、両親が労災を認めなかった国の処分取り消しを求めた訴訟で、母親で看護師の百合子さん(64)が裁判への思いを語った。訴えているのは、だれもが、安心できる職場で働いてほしいという願いだ。
「●●先生に『お前はオペ室のお荷物だな』と言われて確信しました。成長のない人間が給料をもらうわけにはいきません。本当に申し訳ありません」
譲さんが室蘭市の実家車庫で自殺しているのを父親で大工の豊作さん(67)が見つけた。2013年9月15日の朝だった。看護師になって半年足らず。A4判の紙にボールペンで書かれた遺書がかばんに残っていた。
訴状によると、手術室の担当になった譲さんは注射液を指示量より多く注射したり、手術台のロックを外したりしてしまうなどのミスを繰り返した。医師から「オペ室のお荷物」と言われたり、大声で何度も叱責(しっせき)されたりした。同期の看護師と同じ課程に進めず、指導担当者による評価表には6月以降、批判的・詰問的な記載が並んだ。これらの結果、うつ病を発症し、自殺に至ったと主張する。
両親は15年、釧路労働基準監督署に労災申請をしたが、精神障害や自殺は「業務に起因するとはいえない」として認められなかった。北海道労働局などに審査や再審査を求めたが、いずれも退けられ、18年4月に国を相手取り、釧路地裁に提訴した。
譲さんは20歳で壮瞥町役場に入った。「もともと興味があった医療の道に進みたい。500万円ためたから親には面倒かけない」と30歳で退職。32歳で奨学金を借りて日本赤十字北海道看護大学に進んだ。
一家は百合子さんのほか、妹が…
2種類の会員記事が月300本まで読めるお得なシンプルコースはこちら
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル