近藤咲子、鳥尾祐太
北海道知床半島沖で沈没した観光船に乗っていたとみられる千葉県南房総市の60代の男性は、高校卒業後、8年ほど海上自衛隊に勤務した後、建設の仕事をしていた。22日現在、なお行方がわかっていない。長年の仕事仲間という千葉県内の50代の男性は「海自にいた経験があるから海のことは分かっていただろうに……」と悔やむ。
行方不明となっている男性は体格がよく、土木工事の現場で「ジャンボ」という愛称で呼ばれていた。15年ほど前に仕事先で知り合い、人手が足りない時は互いの現場で助け合ってきた。「一緒にいるだけで楽しい。一見こわもて。でも中身は優しかった」
子ども好きで、子どもの誕生日にはケーキを買って男性宅を訪れ、ランドセルをプレゼントしてくれたこともあった。今回の事故の直前にも一度、知床を訪れていたという。再び知床に向かう数日前に知床の土産を持って男性宅を訪れ、「また行くんだ」と話していたという。
写真が好きで、その時は知床で撮ったオジロワシの写真を見せてくれた。今度はヒグマを見に行くと言っていた。「クマみたいなお前がクマ見てどうするんだ、って笑ったよ」
事故を知った後、捜索の様子を中継するニュースをよく見ている。「帰りを待つ家族もかわいそうだ。どんな形でもいいから早く見つけてあげてほしい」と語った。(近藤咲子、鳥尾祐太)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル