合成クモ糸、カシミヤ風の原毛、自動車部品の素材――。鶴岡市のバイオベンチャー「スパイバー」が生み出した新しい繊維や樹脂は石油由来ではないため、環境に優しい次世代の素材として期待がかかる。この新素材を作るのは、無数の微生物たちだ。
田園の中に研究施設が立ち並ぶ鶴岡市の「サイエンスパーク」の一角に、スパイバーの工場はある。ビール工場を思わせる巨大タンク内で、微生物が作るたんぱく質。これらを繊維や樹脂に加工する。
たんぱく質の名は「ブリュード・プロテイン」。発酵(brew)でつくる、という意味を込めた。同社代表の関山和秀さん(37)は「元になる糖やミネラルは植物由来。各素材を量産化できれば、プラスチックに代わりうる」と話す。
微生物は体内に糖などを取り込んでエネルギーを得る過程で、たんぱく質を合成する。関山さんらは、特定のたんぱく質を作るよう設計した遺伝子を微生物に組み込み、用途に応じたたんぱく質を効率よく作る技術を開発した。
欧米企業が開発を競っていた「夢の繊維」
「クモの糸を量産できたら、すごいことになる」
2004年、当時慶応大4年の…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル