中村英一郎
「長谷川町子記念館」(東京都世田谷区)で開催中の企画展「わかめちゃん」が、予想を上回る人気となっている。漫画「サザエさん」に登場するキャラクターの「単独」企画展は、同館では初めて。企画した学芸員が語る、磯野家の次女・ワカメの魅力とは――。
企画展は昨年12月から始まった。企画した同館学芸員の長澤有記さん(40)が意識したのは、「ワカメちゃんの魅力が伝わること」。会場には、ワカメを主人公にした連載漫画「わかめちゃん」や絵本シリーズ、雑誌、原画など、厳選した240点が展示されている。
ワカメが単行本「サザエさん」の表紙に登場する回数は、主人公サザエの1位(68回)に次いで2位(47回)。3位のカツオ(39回)を上回っており、原作者長谷川町子さんのワカメへの思い入れは強そうだ。
同館によると、長谷川さんはワカメのモデルを明言していないが、ワカメの天真らんまんな物言いや、甘えん坊な一面など、「読めば読むほど町子自身の幼少期をほうふつさせているようにも思える」とする。
長澤さんは「サザエやカツオが家族の中心というイメージがあるが、大人ぶった発言で家族をほっこりさせるワカメは、実は家族のムードメーカー的存在」とワカメの磯野家での役割を分析する。「アニメでは優等生のイメージだが、原作では子供らしいしぐさが魅力の、活発な女の子なんです」と熱っぽく語る。
企画展は当初の予想を上回る来場者数を記録しており、ワカメちゃんファンの多さに改めて気づかされたという。「大人からするとわが子や妹のように、子供は友達のように感じているのでは」と、幅広い年齢層から愛されているワカメの魅力が伝わっているという手応えを感じている。
企画展は3月24日まで。入場料は一般900円。ワカメをデザインしたTシャツやエコバッグなどワカメグッズも多数販売している。問い合わせは同館(03・3701・8766)。(中村英一郎)
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル