ロシアの侵攻を受けているウクライナのパラ・ノルディックスキー選手たちが、日本障害者スキー連盟の招待で来日し、札幌市で開催中のアジアカップに出場している。昨年の北京パラリンピック金メダリストで世界的第一人者のグリゴリー・ボウチンスキー選手(34)がインタビューに応じ、侵攻から1年が過ぎた母国のスポーツを取り巻く状況を語った。
アジア杯は18日、白旗山競技場で始まった。男子5キロクラシカルでウクライナ主将のボウチンスキー選手が、先にゴールしていた佐藤圭一選手(43)のもとに駆け寄った。両手を合わせ、日本語で「ありがとう」と声をかけた。
ボウチンスキー選手と佐藤選手は世界を転戦してきた仲間だ。
佐藤選手が2015、16年、バイアスロンの強いウクライナを訪れた。佐藤選手は「言葉も通じないのだけど、ボウチンスキー選手は滑り方や練習方法などを図解で説明してくれた」と振り返る。
昨年2月24日、ロシアがウクライナに侵攻した。ウクライナの選手たちは、尊い日常を奪われた。
佐藤選手は、現地のボウチンスキー選手とテレビ電話で話すことがあった。
「シェルター(避難所)から『暇だから』とかかってきたこともある。そういう現実を知っているから、戦争はテレビの向こうのことではない。自分も年を取ってきたけれど、まだまだ頑張らないといけないと思わされる」
日本障害者スキー連盟(椎名茂会長)が募金を呼びかけ、ウクライナ選手の渡航費を集めた。冬季パラ競技の強豪国のウクライナは本来、アジア杯の出場国ではない。コロナ禍で延期されていた大会が開催されたことを受け、親善大会と位置づけてウクライナの選手たちを特別招待した。
国際大会への出場は戦禍に苦…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル