今夏に1年延期となった東京オリンピック(五輪)・パラリンピックの大会組織委員会の森喜朗会長は12日、新年の職員向けのあいさつで「春が来ないことはない。最大の難関を突破するように頑張りましょう」と呼びかけた。新型コロナウイルスの感染拡大で約200日後に迫る大会開催を危ぶむ声も高まる中「ここで私が考え込んだり、たじろいだり、もし心の中に多少の迷いがあったら、全てに影響してくる。あくまで進めていかないとならん。淡々と予定通り、進めていくという以外にお答えする方法はない」と述べた。
森会長は年頭あいさつで「家内がスマホをみると、私の悪口ばかりだったそうだ。菅さん(菅義偉首相)以上だった。長い人生で初めて。森内閣(2000年~01年)でもこんなにひどくなかった」と話した。
今年7月に84歳を迎える森会長は「山あり谷ありだった。これが最後の仕事。オリンピックが終わるまでは皆さんと最後まで戦いたい。天命に尽くす思いで最後まで頑張り抜きたい」と語った。11日にあったラグビー大学選手権で母校の早大を破って初優勝した天理大を引き合いに出し「頑張って、頑張って、頑張ると、天理大学も早稲田大学をやっつけることができた。しかも堂々たる試合、早稲田も立派に戦ったと思うが、長い間の執念、戦いの勝利を生み出したスポーツのすがすがしさを改めて感じた」と締めくくった。
世論調査、「来夏に開催」は30% 「中止」・再延期」は…
朝日新聞社の昨年12月の世論調査では「来夏に開催するのがよい」とする声が30%だったのに対し、「中止」が32%、「再延期」が33%だった。1月7日には緊急事態宣言が発令され、大会への懐疑論がインターネットなどで高まっている。森会長に続いてあいさつした武藤敏郎事務総長は、報道各社の世論調査で中止や再延期の声が高まっていることについて「ある意味、自然なことだ」と語った。11日には、国際オリンピック委員会(IOC)のクリストフ・デュビ五輪統括部長と電話で話したことも紹介。2月中旬に予定されている組織委とIOCとの事務折衝で、大会の開催可否を判断することはないことを確認したという。
武藤事務総長は「いま我々は『コロナで大会がどうなるのか』というような問いを発することではなくて『このような状況でどうすれば大会を開催することができるのか』を考えるのが使命だと思う」と述べた。
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル