独自の調査報道やノンフィクションなどを配信する「SlowNews(スローニュース)」が6月20日にオープンしました。実は「SlowNews」は昨年夏にいったん停止。1年ぶりに装い新たに再始動したかたちです。以前とどこが違うのか? 「スロー」に込めた思いとは? 「SlowNews」を運営するスローニュース代表、瀬尾傑さんに聞きました。
なにかとタイパが求められるファスト社会で、「スロー」を重視する動きが相次いでいます。ときには立ち止まって、じっくり、深く……スローをめぐる価値、思考の意味を問い直すインタビューシリーズです。
――今回、「SlowNews」を再始動されました。社名ともどもスローという言葉が入っています。
時間をかけてゆっくり取材する。記事をじっくり書く。読み手はゆっくり咀嚼(そしゃく)して読んで反応する。そんなスローな世界を僕らは目指したいと考えています。
ネットはファスト(速さ)一辺倒。ニュースは次々と流れ、見出しを見て読者は即、反応する。配信する側は見た瞬間にクリックさせるように仕掛ける。こんな世界に対して「違う価値」があることを示したい。
――調査報道へのこだわりとも関連する?
はい。隠れていたファクトを丹念に調べて明らかにする調査報道には手間と時間がかかる。ゆっくりの世界です。でも、様々な観点からチェックされているから、その情報は信頼できる。それは民主主義のためにも不可欠だと思っています。
サブスク停止、戦略変更と再始動
――前身のSlowNewsは2022年7月に停止したのはなぜですか。
21年2月に始め、およそ1年半で見直すことにしました。お金を払ってもらった会員に独自の調査報道やノンフィクションの書籍などを読んでもらう「サブスク(定額購読)モデル」でスタートしましたが、書籍のような長いコンテンツを読んでもらうことで満足してもらうのは難しかった。プロダクトを随時改善したけれども、期待したマーケットフィットは達成できませんでした。
一方で、関心のある調査報道をお金を払って読みたい読者がきちんといることには手応えを感じた。そこでプロダクト運営よりコンテンツを広く届けることに注力することにしました。
再始動した今回は、相当のリ…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル